津軽弁バージョン─ハルくん全国プロジェクト

津軽弁バージョン Tsugaru dialect
「わトバ わへでまったんだべが?─父っちゃはアルコール依存症─」

津軽弁翻訳:第26回東北アルコール関連問題研究会実行委員会
ネイティブツガリアン一同

エの父っちゃ さげっこ飲めば…おっかねぐなる…

父っちゃ…
わトバ わへでまったんだべが?
めぇだば休みの日だのって
キャッツボールしてけだばって
今朝だって約束っことば してけたんだばって
やっぱりうそだった
昼間っからさげっこ飲んじゅぅはんでなぁ
公園でみんな家族してあそんでる
わぁは すげねぐなって
エさ帰るんず
もう慣れでまった えぇんだばって

仕事の日、父っちゃ戻ってくれば
わぁは胸ハカハカすんず
さげっこ飲んで
母っちゃ途中でやめさせればケンカさなるんず
最後だっきゃ物ぶんなげだり
たんげでったらだ声でどなるんず
わぁはおっかねぐて声出はねぇのや
姉っちゃだっきゃずぅっとめぇがら
父っちゃど口きがねぇし~

酔っぱらった父っちゃだっきゃ
ダの言うこともきがねんず
でったらだ声
よそのエさきけねぇように
わぁはうろだぃで戸っこ閉めるんず
おらエのこどだっきゃダさもしゃべらいねぇし
わぁはときどきあだまいでぐなるんず

ある日わぁは こそらっとさげっこさ 水へだんず

だばってそのばんげも…でったらだ声きけぇだんず
まんだケンカはじまってまる
母っちゃにげでけへぇ
どへばいいんだばぁ
わぁがいぐねぇわらすっこだはんでだべなぁ
めやぐめやぐ
わぁはおらの部屋で
ココさギュ~ッてして
歌っこうたったんず

あるばんげ
父っちゃおもででさげっこ飲んで たおぃだんず
母っちゃワタワタど出はっていったんず
でったらだ病院さ運ばぃで
そのまんま入院したんず
どへばいいべぇ
父っちゃ死んでまるんだべがぁ?
わぁがココロのなかで
おねがいしたはんでだべがぁ…
わぁのせいだがもしんねぇ…

次の日
みんなしておみまいさ行ったんず
父っちゃなんにも喋らねんで
窓がらおもでばし見であった
わぁはおもしぇ話っこ思いつがねぇし
みんなさ笑ってもらいてがったんだばって

シーンってしてら部屋さ
医者様入って来てこうしたのや
「さげっこで肝ぞう やんでるはんで
このまま飲みつづければ
死んでまるよ」
「さげっこやめる専門の病院さ行ってみねが」
父っちゃは医者様のつら ふとつもみねぇ
その日ず~っと父っちゃ
何も喋ねぇんで
みんなぶすっとしたままエさもどったんず

「まんださげっこ飲んだらどぅするべぇ…

母っちゃのへなが泣いでら
母っちゃはむったど
父っちゃのさげっこのことばっかしだはんでなぁ…

わぁはスミッコさにげだ
おっかねぇってすぅ きもぢっこあふぃできた
母っちゃ泣いでほしぐねぇし
父っちゃも死んでまったらまいねぇし
どぅするべぇ…
おっかねぇってすぅきもぢっこ どうもこうもでぎねくて
わぁは手紙っことば かいだんず

父っちゃへ
わぁは父っちゃさ
死んでほしぐねぇんず
めぇみてぇに
公園でキャッツボールやりてぇんず
大好きだ父っちゃ
ハルより

わぁはわんつか考えでがら
母っちゃさ手紙っこわだしたんず
母っちゃやさしいったらだツラっこで
「ハルありがとう」って
してけだんず

父っちゃ病院がら戻ってきた
「さげっこやめるはんで」ってして
1週間さげっこ飲まねがった
したばって…
キャッツボールの約束っこしてら日
父っちゃまださげっこ飲んでら
泣ぎながらさげっこ飲んでら

次の日、父っちゃは
わぁの手紙っことばポケットさへで
母っちゃさ連れらいで
精神科の病院さ行ったんず
アルコール依存症病棟ってすぅどごさ
入院したんず
父っちゃ入院してがら
おらエのなが 静かさなったんず
わんつかして母っちゃ
「家族会」ってすぅどごさ
行ぐぃんになった

あるばんげ母っちゃわぁとば呼ばって
父っちゃの話っこしてけだんず
「父っちゃはな
アルコール依存症ってすぅ病気だんず
さげっこやめらいねぇのは病気だんず」
「ハルのせいでねぇんだ」

「どなったりすぅおっかねえ父っちゃは
病気だったんず、だいじだハルどの
約束っこも まもらいねくてあったんだ」
しげねがったよのってして
母っちゃわぁのへながさすってけだんず
「父っちゃはハルのこととば
大好きだはんで大丈夫だぁ」
「今だっきゃ病院で医者様ど話っこしたり
おんなじ病気のふとだぢど 話っこしたりして勉強してらんだ」
わぁは真けんに話っことばきいだ

父っちゃがおっかねえ父っちゃさ
なっだり
わぁどの約束っことば わへぇでまるのも
病気だったはんでだべなぁ
わぁのごととばキライになったんでねがったんだなぁ
わぁはわんつかうれしぐなった

たげして
父っちゃ病院がらもどってきた
「ただいま、ハル」
「さげっこでみんなとば しげねぐさへでめやぐしたな
さげっことばやめでみるはんで」
わぁは母っちゃのツラっこみでみだ
やさしいったらだツラっこしてあった
「こぃがらだっきゃ心配なことだば
喋っても大丈夫だはんでなぁ」
母っちゃそう喋ったんず

父っちゃ会社さ行ぐぃんになったんず
ちがっちゃぁのはよ…
会社の後で同じ病気のふとだぢど
話っこしてからもどってくるんず
父っちゃだっきゃわぁの手紙っことば財布さへじゅんず
わぁはわんつか苦にしちゅうんず
したばって
けっぱってる父っちゃみでらっきゃ
めぇよりわんつかスギさなったんず