協働先の立場から、SVP東京との2年間の協働を振り返って

1 SVP東京、協働とは?

SVP東京は、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、資金提供とパートナーによる経営支援を行っている団体です(HPより)。
『ぷるすあるは』は、協働先に選出され、2014年10月─2016年9月、2年間の協働期間を過ごしました。11/5の卒業式を終えて、一協働先団体の立場からではありますが、2年間の歩みと感じたことを書きました。

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協働先に選ばれると、協働期間の2年間*、資金提供(年間100万×2 使途が規定されない)とともに、団体に応援団がつきます。団体がミッションを達成する─つまり社会課題解決の─ために、応援団のみなさんが専門性や時間や人脈や温かいエールを注いでくれるというシステムです。

応援団はVチームと呼ばれ、そのメンバーは、SVP東京に在籍している約120名のパートナーの中で、ぷるすあるはの応援をしたいと手を挙げてくれた方々。流動性がありながら、2年間で、10数名の方がかかわってくれました。ITエンジニア、士業、デザイナー、起業家、コンサルタントetcバラエティに富む個性的なメンバーでした。 *1年経過時に再契約のための審査があります

私がなるほどユニークな仕組みだと感じた点は2つ。
まず選考プロセスです。応援したいと思う団体といっしょに、事業計画を練り、選考のプレゼン資料をつくります。選ばれる過程からある種の協働がスタートしています。
2点目はパートナーが間接的に投資しているところ。専門的なサポートをしてその金銭的対価を得るのではなく、パートナーがSVPへ払う会費が、間接的に協働先団体への投資になります。
いずれも、パートナーが主体的に団体にコミットしていく仕掛けだと思います。

2 協働で取り組んだこと、成果

協働期間中の団体としての大きな出来事に、法人化とサイトの開設があります。
任意団体(個人事業所)からNPO法人へ。団体の核となるコンテンツを、絵本から「絵本+サイト」へ。
どちらも、協働なしでは実現しえなかったことです。

協働を通して行ったことに、次のようなものがあります。

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数字にみる成果。
サイトのユーザーは5倍に、サポーター(キッズパワーサポーター:登録無料)は3倍になりました。

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3 協働期間の日々の流れ

毎月、定例のミーティングを開催し、日々の連絡はFacebookのグループとメッセージで行っていました。
定例ミーティングは、平日であれば20-22時、みなさん本業の仕事を終えてから集まるためこの時間設定。ときに週末の昼間にも行いました。場所は上野/東京(事務所のさいたまから行きやすい)か赤羽橋/虎ノ門(メンバーの縁のある場所)。
さらに、そのときどきに動いているプロジェクト単位で、個別のミーティング(対面・スカイプ)を行い、各メンバーの実作業は、夜間の時間なども割いてくださっていたと思います。

2年目は、全体というよりも、いくつものプロジェクトが同時並行で動いている仕組みになっていました。メンバーによってコミットの仕方も幅がありました。イベントのブース出展での販売、事務所での発送や袋詰めの手作業、企業とのセッションへの同行など、登場いただいたシーンも多岐にわたりました。

4 プロジェクト

協働で取り組んできたプロジェクトをいくつかピックアップします。

  • クラウドファンディング(CF)からのサイト開設

法人化に次ぐ協働1年目のハイライトです。サイト開設資金調達のためのCFは、目標額の213%、延150人の支援を達成しました。プロジェクト画面作成、支援金とリターンのシミュレーション、SNS拡散、プレスリリース作成と投げ込み、リアルイベントの開催など。担当の2人のパートナーを中心に、役割分担しながら取り組みました。

サイト制作では、ITコンサルタント・エンジニアの2人が大活躍でした(→ぷるすあるはIT・Webチーム)。ウェブデザイナーとの繋ぎ、サイト設計、実作業まで。
心理・保健・教育などのメンバーが集まるコンテンツ制作ミーティングにも参加してくださり、思いやコンセプトの理解の上に、テクニカルな部分を担ってくださったので、とても信頼感がありました。サイト開設直前には事務所に缶詰で取り組んでくださいました。
開設後も、マーケティングで目覚ましい成果をあげ、日本初のGoogle Grantsproの承認にいたります。サイトの運営も現在進行形です。

  • 絵本で届ける保健室あんしんプロジェクト

協働後に企画して始めたプロジェクトです。それまでの受け身の普及啓発活動から、「寄付を集めて絵本を届ける」という能動的な取り組みへ。進行形、改良途上です。

  • バックオフィスの整備

表には現れませんが、非常に役立っている支援です。業務見直し、NPO向け各種支援プログラムの調査・導入(セールスフォース、サイボウズ)、決済システム導入。事務所のIT環境整備。業績・在庫管理。会計業務整備(freee)・税理士Rさんによる実支援。現在進行形で、さらに整備中です。リモートワークが可能になり、働き方が変わりました。

ほかにも、デザイナーYさんとのコラボ。受託したサイトコンテンツ制作やリーフレット制作、団体のロゴなどの制作、原画展の展示など。チアキの絵が生かされる、より伝わるものになる、デザインの力でワクワクする体験がいくつもありました。
弁護士のMさんには、ピンチの事案でアドバイスいただきましたし、それぞれのパートナーの専門分野から支援していただきました。

5 協働の本音のところ・・・?

まとめながら改めて。協働がなかったら、ぷるすあるはの現在地は一体どこだっただろう?と感じました。パートナーのみなさんが、実際にやってくださったことの大きさを感じます。
感謝のことばしか浮かびませんし、協働があってよかったと思います。
団体の役員になった方もいて、恊働なくして今のぷるすあるはありません。

SVPに応募したのは、直接的には知人のすすめ。背景には、プルスアルハを始めてからの2年間で、お金と先の見通しを持てなかったのが理由です。
システムを理解しないままに応募したので、SVPへの具体的な期待はイメージしていなかったかもしれません。
どちらかというと、SVPから団体への期待(責任?)に添えていない感覚をずっと持っていました。団体のビジョンが描けていない。インパクトが出せていない・・・。

最初の選考プロセスのときから、そのギャップはありました。
選考を勝ち進んでいくための事業計画を作っていくわけですが、頭も気持ちもついていけていない。ぷるすあるはで事業運営にかかわっていたのは私1人で、バックグラウンドは医療保健福祉業界。強面の(ではないけど)、企業人・起業人が5人10人と集まって、聞いたこともない用語で話している。アウェイです。
その大きな計画、誰が実行するの!?スタッフ1人なんやけど!?と思っていましたし、選考の時期は、相当の時間とエネルギーを費やし、他の業務がストップする感覚でした。選考会やSVP全体が集まる場は、体育会系というか・・・馴染まない雰囲気もありました。でも、共感や応援は素直に嬉しいし、水を差してはいけない気もしました。
(蓋を開けてみると、パートナーのみなさんが、ほんとに手を足を動かしてくださいました)

さて。協働が始まって。
*プルスアルハを始めたとき、非営利団体にすることは全く考えていなかったので、NPO法人の設立は大きく舵を切った感覚があります(そこには葛藤があり、今でもあります。)やりたいことというよりも、その方向性は、「社会から求められていること」なのかもしれない。取り組む意味があるのではないか。と思って進んでみることにしました。

・・・中略・・・

この2年間、ギャップはあって、団体としてのロードマップを描けないのですが、それは脇に置いて歩いてきたと思います(反省点です)。

そんな中で、法人設立1周年にあわせて、パートナーの方の後押しもあって実施した原画展(2016.6-7月)は、印象深いイベントになりました。
谷中の素敵なカフェのある複合施設で、チアキがたくさんの描き下ろしの絵を描き、デザイナーYさんとコンセプトやフライヤーの相談をして、絵の師匠にアドバイスももらい、キャプションや鑑賞ガイドやお土産を作り、搬入チームで展示をして・・・いざオープン。
300人を越える方に来ていただいて、その反響に直に触れて、(反省点もいろいろあるけど)すごく充実した濃い時間と空間でした。

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(展示風景)

ぷるすあるはの原点を思い出したイベントでした。チアキの絵に、心を動かす力を感じて始めたプルスアルハ。

必要だけど世の中にないものを作り出す

ことにワクワクを感じてやってきました。制作が私たちの活動の肝になるところ。
この1年は絵本や新たな出版物を刊行できていない・・・
改めて制作に軸足を置く。と思いました。

もう片足は「社会から求められていること」に。
その重なりを大切にしながら、そのバランスで地に足をつけてつづけられるように、ぷるすあるはの方向性を見据える。2年の今、感じていることです。

6 団体のこれから

応募時のセオリーオブチェンジと、つづき。
セオリー・オブ・チェンジとは「社会課題がどのような負のサイクルから発生しているのかを分析し、正のサイクルにシステムごと変えていくフレームワーク」のことです1)。

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セオリーオブチェンジ① 応募書類のときのもの
(課題等を簡略化して示しています。現実は勿論こんなふうにシンプルではないですが・・・)

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セオリーオブチェンジ② その先の今の課題、継続課題。
普及スキームの確立、そのための社会課題と効果の見える化。ここを人手をいれて取り組む。
(拡げていくには、多様なニーズに対応するコンテンツの幅や精度が必要。制作と普及はやはり両輪。)

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協働の成果は、団体のこれからにかかっていると思っています。

改めて、リーダーのAssy、そしてVチームのみなさん、2年間ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

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打ち上げ。

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卒業式。

いろんな業種の、とっても個性的なメンバーひとりひとりと出会えたことが刺激的でした。楽しかったです!

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関連サイト

》SVP東京  過去の恊働先には、錚々[そうそう]たる団体が含まれます。

1)引用:セオリー・オブ・チェンジ
》「資金」と「経営支援」を提供する「ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京」[2枚目の名刺webマガジン]
※SVP東京について、代表、岡本氏の説明による記事。わかりやすいです。

協働同期

》Re:bit(リビット):LGBTを含めた全ての子どもが、 ありのままの自分でオトナになれる社会を目指すNPO法人

》みんなのことば:五感で体感できる参加型クラシックプログラム「 みんなのコンサート」を幼稚園・保育園・イベントなどで開催、音楽で子どもの心を育てるNPO法人

関連コラム

》日本初のGoogle Grantspro 承認を頂きました〜非営利団体向けの広告補助金プログラムの活用(noteへ)*追記しました(2016.12.4)